潰瘍性大腸炎




潰瘍性大腸炎の診断基準



(厚生省特定疾患難治性炎症性腸管障害調査研究班 平成5年度研究報告書より)

次のa)の他、b)のうちの1項目、及びc)を満たし下記の疾患を除外できれば確診となる。
  1. 臨床症状:持続性または反復性の粘血・血便、あるいはその既往がある。
  2. :内視鏡検査
    i)粘膜はびまん性に侵され血管透見像は消失し粗造または細顆粒状を呈する。さらにもろくて易出血性を伴い(接触出血)、粘血膿性の分泌物が付着しているか、
    ii)多発性のびらん、潰瘍あるいは偽ポリポーシスを認める。

    注腸X線検査:
    i)粗造または細顆粒状の粘膜表面のびまん性変化、
    ii)多発性のびらん・潰瘍
    iii)偽ポリポーシスを認める。その他ハウストラの消失(鉛管状)や腸管の狭小・短縮化が認められる。

  3. 生検組織学的検査: 主として粘膜固有層にびまん性に炎症細胞浸潤があり、同時に胚細胞の減少または消失、びらん、陰窩膿瘍や腺の配列異常などが認められる。


b.c.の検査が不十分、あるいは施行できなくとも切除手術または剖検により肉眼的および組織学的に本症に特徴的な所見を認める場合は下記の疾患が除外できれば確診とする。

除外すべきは、細菌性赤痢・アメーバ赤痢・日本住血吸虫症、大腸結核、カンピロバクター腸炎などの感染性腸炎、および放射線照射性大腸炎、虚血性大腸炎、薬剤性大腸炎、Crohn病、腸管Behcet、リンパろ胞増殖症などである。

稀に血便に気づいていない場合や血便に気づいてはすぐに来院する(病悩期間が短い)場合もあるので注意を要する。

所見が軽度で診断が確実でないものは「疑診」として取り扱い、後日再燃時に明確な所見が得られた時に本症と「確診」する。


潰瘍性大腸炎の定義

(厚生省特定疾患難治性炎症性腸管障害調査研究班, 1998)
 主として粘膜を侵し、しばしばびらんや潰瘍を形成する大腸の原因不明の糜爛性非特異性炎症である。

慢性の粘血・血便があり本症が疑われるときは、放射線照射歴・抗生剤服用歴・海外渡航歴などを聴取すると共に、細菌学的・寄生虫学的検査を行って感染性腸炎を除外する。
 次に直腸・S状結腸内視鏡検査を行って本症に特徴的な腸病変を確認する。この際生検を併用する。
 これだけの検査で多くは診断が可能であるが、必要に応じて注腸X線検査や結腸内視鏡検査などを行って腸病変の性状や程度・罹患範囲などを検査し、同時に他の疾患を除外する。


潰瘍性大腸炎の重症度分類

(厚生省特定疾患難治性炎症性腸管障害調査研究班, 1994 )
重症度による分類:
軽症**中等症重症*劇症
1. 排便回数4回以下重症と軽症の中間6回以上15回以上
2. 血便(±)(++)血性下痢
3. 発熱(-)37.5℃ 以上38℃以上が持続
4. 頻脈(-)90/分 以上90/分以上
5. 貧血(-)Hb 10g/dl 以下Hb10g/dl以下
6. 血沈亢進正常30mm/h 以上
その他**上6項目すべてを満たすものが軽症である。*重症:(1and2) & (3or4) および6項目中4項目をみたすもの劇症:重症の中でも特に症状が激しいもの。上記の条件をすべてみたし、重症基準をすべて満たす。10000/mm3の白血球と強い腹痛を伴うもの
内視鏡による分類
軽度 : 血管透見像焼失,粘膜細顆粒状,発赤,小黄色点
中等度 : 粘膜岨?,びらん,小潰瘍,易出血性,粘血膿性分泌物
強度 : 広範な潰瘍,自然出血


臨床経過による分類

再燃寛解型
慢性持続型 : 初回発作より6カ月以上活動期にあるもの
急性劇症型 : 激烈な症状で発症し,中毒性巨大結腸症*,穿孔,敗血症などの合併が多く予後不良
初回発作型 : 発作が1回だけのもの.再燃寛解型となることが多い.

難治性潰瘍性大腸炎 : 内科的治療下にありながら表3のいずれかを満たすもの
*中毒性巨大結腸症 : 仰臥位腹部単純X線撮影で横行結腸中央部の直径が6cm以上の場合

表3.難治性潰瘍性大腸炎の診断基準
1. 慢性持続型
2. 再燃後6カ月以上活動期
3. 頻回に再燃を繰り返す
 

Mattsの内視鏡所見分類、生検組織分類

[Matts SGF: The value of rectal biopsy in the diagnosis of ulcerative colitis. Quart J Med 120:393-407 1961]

a. 内視鏡所見分類
1= Normal
2= Mild granularity of the mucosa, with mild contact bleeding
3= Marked granularity and oedema of the mucosa, contact bleeding, and spontaneous bleeding
4= Severe ulceration of mucosa with haemorrhage


b. 生検組織分類
1= Normal appearance
2= Some infiltration of the mucosa or lamina propria with either round cells or polymorphs
3= Much cellular infiltration of the mucosa, lamina propria, and submucosa
4= Presence of crypt abscesses, with much infiltration of all layers of the mucosa
5= Ulceration, erosion, or necrosis of the mucosa, with cellular infiltration of some or all of its layers

 内視鏡分類
 (   )
 生検組織分類
 (   )

いわゆるMattsの内視鏡所見分類

[Matts SGF: The value of rectal biopsy in the diagnosis of ulcerative colitis. Quart J Med 120:393-407 1961より改変]

Grade 1正常血管透見像正常、易出血性なし
Grade 2軽度血管透見像なし
易出血性なし、またはごく軽度
自然出血なし、粘膜発赤軽度
微細顆粒状、膿様粘液なし
Grade 3中等度血管透見像なし
易出血性あり、自然出血あり
粘膜浮腫状、発赤しやや粗
膿様粘液の付着あり
Grade 4高度潰瘍
易出血性、自然出血著明
膿様粘液の付着あり
腸管の拡張不良


Mattsのオリジナル分類とは異なり、若干の改訂が加えられている。
[日本内科学会雑誌82(5):641, 1993]


Clinical activity Index for the Evaluation of Patients with Ulcerative Colitis (CAI score)


・Diarrhea(no. of daily stools)
 
 0-2 0
 3-4 1
 5-6 2
 7-9 3
 10 4

・Nocturnal diarrhea
 
 No 0
 Yes 1

・Visible blood in stool
 
(% of movements)  
 0 0
 <50 1
 >50 2
 100 3 3

・Fecal incontinence
 
 No 0
 Yes 1

・Abdominal pain/cramping
 
 None 0
 Mild 1
 Moderate 2
 Severe 3

・General well-being
 
 Perfect 0
 Very good 1
 Good 2
 Average 3
 Poor 4
 Terrible 5

・Abdominal Tenderness
 
 None 0
 Mild and localized 1
 Mild to Moderate and diffuse 2
 Severe on rebound  

・Need for antidiarrheal drugs
 
 No 1
 Yes 2
 
the max score is 21. A score of less than 10 on two consecutive days was considered to indicate a clinical response.