不吉な電話。


—夢 その3





また、或る日、こんな夢をみた。

 仕事をしていると突然携帯電話に電話が入った。

 「Aさんのこと、憶えてますか?」

 それはAさんととても仲の良かった女性からの電話だった。Aさんとは、医学部3〜4年生の時に一方的な付き合いをして、結果的に捨てるような形で別れてしまった同級生である。別れる際にかなり揉めたので、僕にとっては余り思い出したくない苦々しい記憶であり、少しいやな予感がした。

 その女の子も僕と話すのが厭わしいらしく、極めて冷たい事務的な口調で早口で次のことを言った。
「Aさん、今精神病院に入ってます。もし何かあったらあなたのせいです。兎に角すぐ来て下さい。」ガチャ。

 いますぐったって…
(島根だし…)

 おまけに電話は非通知設定で電話番号もその病院の名前もわからない。

 行くべき場所もわからないし、僕の知っている学部の友人に電話をかけて情報を集めるがやはり目立った情報は得られない。そしてその彼女からは2日か3日おきに(決まって仕事中に)なぜ来ないのかと責め立てる電話が掛かってくるが、もちろん非通知で、しかも私に返答の時間を許さず一方的に喋り倒した後電話を切ってしまう。

 という状況でひたすら焦燥感だけがつのってゆくという夢でした。


 起きたら汗びっしょりでした。

 起きてからよくよく考えてみるとAさんなんて実在しない。もちろんそんな(捨てたという)事実もないのだ。
 Aさんの友達として僕に電話を掛けた人は実在の人物である。医学部の同級生で、勉強が良くできてノートも完璧にとる人だった。よくノートを借りていた。いつも女性だけで固まっていて、あまり男性と話したりしないタイプの女性だった。


 この夢の意味はよくわからないが、目が覚めたときにはかなりの罪悪感と後悔でいっぱいであった。その罪悪感には根拠がないこと、架空のものであるということを理解するのに丸一日かかってしまった。

(初稿2002.