スキー場にて


—夢 その5




 僕はスキー場のロッカーみたいなところにいる。少なくとも僕はそう思っている。

 薄暗くてじめじめしていて、しっとりとなまあたたかい。

 靴音や人の話し声がコンクリートの壁に反射してキンキンとこだまする。
遠くで低いざわざわとした音が聞こえる。階上にある食堂のざわめきだろうか。

 それとも耳鳴りなのかもしれない。耳がくすぐられるような、ほんの僅かな音。

 身を切るような寒さなのに、空気はしっとりと潤っている。防虫剤とタバコのにおい、それとプールの塩素消毒のような匂いが混ざっている。


 なぜかそこに簡易ベッドのようなスペースがある。ストレッチャーのような。

 とても眠い僕はそこに潜り込んでまどろんでしまう。

 そこに若い男女が4、5人がどやどやと入ってくる。若者に独特の騒がしさで。くだらない冗談、それに呼応する女性。決して同性の間では発せられることのない一際トーンの高い媚びた笑い声。
 発情期の求愛ダンス。

 僕はベッドの上で頭まで布団をかぶっている。だから彼らは私に気づかない。私の寝ているベッドを荷物台とでも勘違いしたのか、手袋や荷物をどんどん載せてゆく。


 私が抗議めいた顔を布団から出すと、彼等はびっくりしたようだ。一瞬会話が止まる。が、若い男が発情期に特有の猛々しさで、『そこにいたお前が悪い』と言わんばかりの顔で睨み返す。その粗野で野卑なにきびだらけの顔を見て、私は気弱に目をそらし、観念してもぐりこんだ。


 再び始まる会話。どんどん載せられてゆく荷物。

 女たちの笑い声が腹立たしい。