静電気

—外套 2




 コートを買い替えてから、どうも静電気が増えたような気がする。
 よく、バチッ!!となります。
 
 僕はすごく静電気体質だ。

 なぜ冬場に静電気が出やすいのかはよくわからないが、皮膚が乾燥することによって体内の電気の逃げ場がなくなるのかも、と勝手に考えている私だ。本来人体は電気をよく通すが、それは主に水分が多いためである。若干の電解質を含んだ水分はよく通電する。だから汗だらだらの夏は体と接触物との間の伝導がよいが、冬になり乾燥すると皮膚にある種の遮蔽効果が生まれるのではないか。皮膚は、体の中にある細胞から水分が逃げないように、油脂分と角質によって作られた遮蔽物である。

 もちろん、着ている衣類の数が増えることで、それらの衣類間の摩擦も増え、結果的に静電気の発生も増えるという理由もあろう。
 

 静電気に悩み始めたのは、記憶にあるかぎり大学の三年くらいからではなかったかと思う。それから段々ひどくなっている。皮膚の水気が抜けだしたのと期を一にしているような気がする。

 ということは、冬場、皮脂のバリアーがなくなって、老人性の皮膚掻痒症になるような方は、より静電気に悩まされるということだろうか。今度患者さんに訊いてみよう。

 静電気体質は、冬の生活のところどころでちらりと顔をのぞかせる、スパイスのようなものだ。ノブを握ってチクリ、人に触ってチクリ、車に乗ろうとしてチクリ。冬の間はとりあえず掌で周りをべたべたと触ってからそういうものに触る癖がついている。知らない人の目にはさぞかしヘンテコにうつることだろう。

 駅の券売機にお札を入れようとしてバチッ!となったこともあった。お札は磁性のインクを使っているせいか、電気を通すということは知識として知ってはいたが、まさか掌→お札→券売機と電流が流れるとは。これは珍しく、二度ほどしか経験したことがない。

 最近は、手を洗おうとして手を水流にかざした途端にバチッ!とくる。もし同様の機序で放尿時に電流が流れたらどうしようと危惧している最近の私だ。

 トイレでバチッと来たら セイ電気だけにエレクトするのかしらん……(※)


(2005.Jan初稿)

※オチは某A○misさんにつけて頂きました。