delonghi



 学生の時の話である。
「まぁ、社会人になったら、お互いにヤンエグるわけなんだろうけど」
「そう。ヤング、エグい、な」
「そうそう。ロレックスとかしちゃったりしてね」
「香水、なんとか、オムみたいなやつ。それにカフスボタン」
「うわ〜」
「部屋は北欧家具。 暖房器具は?」
「もちろん、デロンギ(笑)」
「うわ〜、最悪〜(笑)」


 もちろん、デロンギが最悪なわけではない。

 その、悪趣味なまでのスノビズムを揶揄していたわけである。

 あれからおよそ5年が経った今、僕は家に帰ってまさにデロンギのオイルヒーターのスイッチを入れている。
 

 こたつがないこの家では(ちょっと格好つけてこたつを置かない家にしたのだ)備え付けのエアーコンディショナーを除けばテロンギが唯一の暖房器具だ。

 実際にテロンギ製が(他のメーカーと比べて)いいのかは僕には判断できないのだが、少なくとも今現在自分の手元にあるテロンギに関しては満足している。

 スイッチを入れるとしばらくぴちゃぴちゃオイルの流れる音が聞こえるのも風流だし、便利なんだかなんだかよくわからないオレンジ色のアナログ予約時間設定ダイアルも(使えやしないが)かっこいいし、表面がちょっと熱い湯飲みくらいの熱さになって、寒いときは手を直接触れて温めることができるのもいい。絶対に倒して使うな!と厳命されているのも、外人のおっかなさが感じられて良い。

 暖房器具としての切れ味はあまり良くないが、重宝している。火事の心配がないのもいい。

 実は今のデロンギは二代目である。

 島根にいるときは一つ古い型のを持っていた。島根の官舎は吹きっさらしの一戸建てなのでテロンギのような緩やかに温めるような暖房器具はへのつっぱりにもならなかった。(ちなみに石油ファンヒーターがマストアイテムである)。というわけであまり使用しなかったので妹にあげたのだ。


 だが、岡山に来て今のマンションに住むようになると、暖かい岡山では石油ファンヒーターはヘビーで、やはりあのデロンギの昼行灯的生ぬるさが合っている気がして、二代目を買った。

 実際、マンションのような密閉集合住宅は保温力に優れているのでこういった緩やかな暖房器具が便利であるようだ。

 というわけでこれが僕の部屋とデロンギとのいきさつである。



(Dec. 2003初稿)