国家試験体験記(その6)

さて、肝心の設問を振り返ってみよう。
試験場にての出口調査(というか、友達などの感想…)にては、例年より難しいという意見と簡単だったという意見が混在している。 (まぁ、当たり前ですけど)。大抵の人は一回こっきりしか受けないわけで、わからない。浪人生は去年よりも実力が大幅Upしているはずで、これも比較出来ない。

ただ、予備校の先生や、毎年国試をみている人は例年の変化を体感できるのかも知れない。当月号のKokutai(医師国家試験の雑誌)でも見てみるか。

ただ、概して得点率で大幅6割を割り込んだという話は聞かないし、正答率は去年よりもやや上か。
「わかんないけど、なんとなく正解できる問題が多かったね」という意見もきかれた。

ただ、予備校の集計結果はあてにならないはず。
だって、俺、だしてねーもん。(…って、御免なさい)

だいたい半数が自己採点結果を出すようであるが、『自信があるから出す』、『あるから出さない』『ないから出さない』『ないから出す』など様々な心理状態があるわけで、自己採点を出した群は母集団から無作為抽出された訳ではない。だいぶBiasが働いているわけである。


さて、今年の出題にて私が感じたことを箇条書きにしてみよう。
  1. 既出検討だけでは太刀打ちしにくい問題を意図的にだそうとしている。
  2. 来年度の国試大幅改定をにらんで、生理学、薬理学、病理学などの基礎範囲の比重を相対的に増やした。(特に、A)
  3. 「AB EF」と「CD」でははっきりと問題の性格に変化をつけてきている。
    特に、C。(Dはみんな知ってるしね。)
 来年度は国試の出題基準が大幅改定となる年であり、今後の傾向は未知数である。だが、それなりに今年のA試験の幾つかに次回の国試をうらなう設問が散在していたように思う。今年に限って言えば、生理学、薬理学分野では既出を越えたむずかしい範囲が出題された。

現在AとBとの性格分けはあまり成功していないように見える。しかし、来年以降基礎内容を拡大させるのであるなら、Aは基礎の問題や症候学ばかりになり、Bが臨床の一般問題という風に問題の棲み分けが行われる可能性はある。

来年基礎内容がどれほど盛り込まれるかはわからないが、USMLEのstep1をさらっと流し解きするのも有効かもしれない(大変だが)。


私が解いていて感じたのはC問題の傾向である。

C=複数選択、D=八割合格・禁忌肢という問題の出題形式ばかりに受験生は目がゆきがちである。しかし、それはC、Dの本質ではないと私は思う。
それよりも出題傾向に目を向けた方がよいと思う。

言葉づら以上にGeneral physician志向の問題であるといえるのではないか。

Dでは「医師を志すものに対しての最低限の知識」を問う形式が多い。この場合、あまり思考を必要としない(また、あまり思考しない方が得点出来る)。対して、C問題では知識そのものよりも、考え方の筋道を問うような問題が多いように思える。わかりやすく言えば内科診断学である。
 確定診断への論理的なプロセス、鑑別診断、それに伴う治療方法などを論理的に説明する能力を要求しているように感じた。

今回のC問題には実に考えさせられた。巧妙に作ってあって、漫然と考えただけでは複数選択肢の1つ◯、2つ×がついた辺りで、迷う。

NEJMのcase recordなどがよいのではないだろうか。また、内科臨床などの内科総合誌の後ろのほうにある「今月の症例」的なものを見るのもよいかもしれない。四回生など時間に余裕がある場合、まず内科の症候学などを読む事をお奨めする。兎に角、「内科的考え方」の地肩を早いうちに作るとあとが楽なような気がする。C問題はそういった意味で正攻法が通用するのではないか。直前勉強で得点が急に上がるような類ではない。
なんだか、「大学受験の時の現代文」のようだ。
追い込み勉強で得点力がアップする様なものではない。

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