ワープロの誤変換について:


医療界はとにかく狭くて古い世界で、とかくやりづらいところではあるが、いいところもある。

 たとえば、各種のインフラストラクチャーが意外に揃っているところ。Medlineなどの論文検索システムが早い段階から整備されたのもそうだし、また、論文作成、スライドなどのプレゼンテーションもパソコンによる方法論が確立している。
 意外と医者はパソコンに強い。

 しかし医学用語には難しい漢字が多いし、日常会話で使わないような単語が山ほどある。普通のワープロソフトそのままではそういう単語を変換しちゃあくれない。いかにATOK様でもデフォルトでは処理しきれない。そういった単語は自分で登録するのもよいのだが、これを一から自分でしてゆくのはなかなか骨である。何万とあるし、漢字もやたら難しいものがおおいから。

 しかしこれも、ちゃあんと先人が作った医学用の変換パッチがある。しかも嬉しいことに無料で公開されているのだ。たとえば→ここだ。

 こいつのお陰でレポートを書くのにも非常に便利である。単語いちいち入力するのは非常に大変な手間であっただろうが、これをしてくださった先人の苦労に感謝するしかない。


そしてこの変換辞書は、労力軽減だけでなく、学習にも役立つのである。
 変換されないなぁ、と思っていたら、自分の読み方が間違っている、ということも往々にしてあるからだ。
例えば悪露は、「あくろ」では変換されず、「おろ」で出てくる。
他にも「喘鳴」「ぜんめい」とか、ね。


しかし、私の場合通常使う変換に無分別に組み込んだため、医学部関連以外の事を書く時、 例えば恋人や、友達にメールを書いたりする時も、医学用語が出てくるので閉口している。
一例を挙げると:
海鮮丼→疥癬鈍 まずそう〜
青年の腫脹、痛そう〜
強酸糖とか 甘そう〜(すっぱそう〜)
「食堂」も一発目は「食道」なので、うっかりすると間違えたまま(そして、この間違いは結構恥ずかしい)。

他にも失敗例には事欠かない。

だいたい、友達にうつメールなんかは、話し言葉だ。 (今もだいたい→大腿 …)
頭の中では変換に殆ど意識しない軽い文が多いので、そういう誤変換が少しでもあると、リズムが崩れて、とても書きにくい。誰か、いい方法知りませんか。

まぁ、ナイタイレジャーとかの原稿書きよりは、ましか。
「皮肉」→「秘肉」

 とか、だもの。


 以下は、雑感。

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 医学辞書に限らず、ケアレスミスを犯しやすいのが「意外」と「以外」だ。ワープロの方でも誤用を引っかけることが出来ないのであろうか、Webを見渡してみても、実にミスが多い。手書きではまず間違えないのだから、ワープロの功罪の罪たる最右翼であろう。
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 いま働いている病院の院長は「増悪」(あんまり治療がうまくいかなくて、どんどん経過が悪くなること、をいう言葉だ。)のことを「ぞうお」という。正しくは多分「ぞうあく」だ。
 でもみんな知っていても指摘しない。
「上司が言えばカラスも白い」ってやつなのか。
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 これも厳密にいうと医療専門用語ではないのだが、「漸減」という言葉も読みを間違える人がいる。漸減とは「ちょっとずつ減らす」という意味なのだが、「ぜんげん」と読むのが正しいはず。時々「ざんげん」と読む人がいる。