白衣その2:


医者の風景学



 またひとつ、白衣をダメにしてしまった。
 
 僕は、文具について でも書いているように、万年筆を使っている。だけど、万年筆って、いろいろな問題があるのだ。インクが漏れたり、インクが水に弱かったり、インク交換の時に手が汚れてしまったり、定期的な洗浄を必要としたり、ペン先を傷めてしまうとあっさり書けなくなってしまったり。(→万年筆の欠点)

 ただ、万年筆のいいところは、やはり書き味である。こればかりはどんなボールペンもかなわない。とはいっても「水に弱い」インクは、カルテなどを書くときにまずい。

 (ちなみに、そういう欠点を克服した、筆記用具はないものか…と探してみると、なんのことはない、ボールペンなのである。ぎゃふん。)

 ともかく、そんなわけで今は万年筆に他社の耐水性の良いインクを入れて使っている。このインクはカーボン粒子を溶かしたものが入っていて、乾くとそれが蒸着して固定されるようになっている。だから他のインクと違って、水に極端に強い。手についてもちょっとやそっと洗っても落ちない。

 これを白衣のポケットに入れたまま、インクを漏らしてしまったのだ。

 本一冊、ズボン一着、メモ帳二冊も道連れにして。

うしさんです。 白衣、ホルスタイン状態になってしまったのだが、先程書いたとおり、このインクはとても水に強いので、このシミは絶対に落ちないだろう。洗っても絶対に落ちないので、泣く泣く捨てました。ズボンは被害が少なかったので泣く泣く捨てませんでした。
 

 ところで、白衣だが、この他にもいろいろなアクシデントに出会うことがある。

 内視鏡(カメラのことね)をやっている医者なら、インジゴ(という青い色素があるんです)を服にとばしてしまったことは一度はあると思う。その他に観血的処置をしたときに血が付いたりすることもある。時々、患者さんのウンコやゲロなどが付くこともある。(これはまれ)
 その他、じわじわと襟足に汗シミがついたりする。これは普通の服などとおなじ。
 

 そういうのを全部加味すると、白衣の寿命って、長くても一年くらいじゃないかなぁと思う。

 また、看護婦さんや介護士さんの白衣は別なのだろう。
 直接肌に触れるし、肉体労働は激しいし。


(Apr. 2002初稿)