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医者の風景学



 だれが、なんと言おうが、看護婦さんの服(白衣)は、かわいい。
 

 ポリクリ学生(医学実習)の頃から僕は病棟に出入りしている。看護婦さんという存在を見慣れてからもう3年ばかり経つ勘定になる。もちろん、日常的に看護婦さんに接するわけで、表の顔も、裏の顔もよく知っているわけである。だから「素人さん」(医療従事者に比して、という意味よ)に比べたら看護婦さんに対して過度の幻想を抱いたりということもないし、制服フェチでもない。

 だから看護婦さんの白衣でリビドーを感じたりはしない。

…感じない、はずだ。
…だが、見慣れているはずなのに、看護婦さんの白衣、いやさ失礼、看護婦さんってやっぱり美しいって思っちゃう。なぜなんだろう。

 白衣の白さってのは生成りの白さとは違い、漂白された白なのである。漂白された白には、ある種血肉の臭いを消すような透明感というか、非生物的な要素がある。それゆえに、白衣には着る女性の生身感を薄め、ある種抽象的な存在に見せる作用があるのではないか。
 彼女たちは白衣を着ることで肉体のもつ通俗性を越えて、その対極にある崇高な何かを付与されるわけである。蓋(けだ)し、『白衣の天使』という言葉通りである。

 白衣を着ると、その子の自我・感情・息づかい・体臭などは目立たなくなり女性の持つ普遍的な美しさが引き出され、それゆえになにかこの世のものとも思われぬような気がするのである。

 と、いうわけで看護婦さんはかわいい。看護婦さんが看護婦さんである限り。

 白衣を脱いでも(あ、これも誤解しないで。私服っていう意味よ)なお可愛い看護婦さんはそれほど多くはないけれども。


 一般的に制服というものは女性を可愛く見せる作用があるように思われます。このことは広く納得とご理解をいただけるのではないかと思うのですがいかがでしょうか。セーラー服や看護婦さんの白衣は女性の可愛さをより引き立てるように創られていると思います。

しかし。

 女子高生の制服でも、学校によっては、『すごい可愛い服なんだけども可愛い子にしか似合わない』やつ、ってあるじゃないですか。
 すごい可愛い子向けにチューンナップされていて、ちょっと不細工な子が着るとこちらが痛々しく思えてしまうような制服が。

 例えば、アンナミラーズの制服なども私は東京者では無いので見たことありませんがおそらくその様なベクトルに位置しているのでしょう。逆に警察官の制服は実用面が前景に出て、案外その様な『美人チューンナップ』は厳しくありません。勿論美人が着れば「良い」のは「良い」のですが。

 それでは看護婦さんの服はどうでしょうか。結構「可愛い子向け」に厳しくチューンナップされていると私は思うんですが。
 でも年喰っても看護衣着続けないといけないのよね…。

 お年を召された方が若い子と同じ看護衣を着ているのを見ると少し気の毒に思うことがあります。


(初稿2000/6/28日記 改稿)