Nursing



 看護婦という呼称が看護師と変更になったのは知っているだろうか。

ちょっと調べてみると…
「保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律」が平成13年12月12日に公布され、平成14年3月1日より従来の保健婦・保健士、助産婦、看護婦・看護士、准看護婦・准看護士から、保健師、助産師、看護師及び准看護師へと名称が改められた。

 「職能意識を高く持つため」とかなんとかの建前はともかく、男女平等運動の一つというのが真相らしい。今まで女性:看護婦、男性:看護士

 だったのが男女とも「看護師」になった。


 男性の看護資格者を看護夫 とすればどちらも「カンゴフ」でよいのでは?と思ったりもするのだが、ま、だめでしょうな。

 長年の習慣とは難しいもので、やっぱり今でも看護師さんに「看護婦さん」と呼びかけてしまうことの方が多い半熟であるが、さいわい彼女らも長年の習慣に染まっているわけで、睨まれたりすることは少ない。(寧ろあえて「看護師さん」と呼んだ方が変な顔をされる。) 

 あと10年経ったらどうなっているのだろうか。

 

 ところで、それに伴って『婦長さん』という呼び名も当然変わる。僕のいる所ではあっさりと『師長さん』という名称に変更になっているのだが、『婦長』という通称を『師長』と読み替えるのは間違っているどころか、不正確きわまりないのではないだろうか。

 確かに看護婦から看護師なったんだから婦長さんが師長さんに変わるというのは整合性のあるようにも思える。だが、新しく自分達が『師』になったからといって、師は君たちだけではないのだ。今まで『婦長』という名称が通用していたのは、『婦』とついている職業が看護婦だけだったからである。要するに『看護婦長』という通称から『看護』を省いても婦がつく職業は看護婦だけなので充分区別がつくわけである。

 しかし、『師長』はどうか。

 病院には色々な『師』がいる。医師、薬剤師、検査技師、放射線技師など。

 だから、婦長イコール看護婦長であるが、師長イコール看護師長とは言えなくなるのではないかと私などは思うのである。

 例えば、『総婦長』という言葉を、これを『総師長』としてしまうと、明らかに意味が変わってしまう。この場合 『総看護師長』から一歩たりとも省略は出来ない。

(もっとも、当世では看護部門の長は

 看護部長という言葉が適当であり、企業体としてはその名称を使うことが推奨されている。だけど、総婦長と看護部長ではなんだかニュアンスが違う様な気がする。教頭と校長ぐらいの違いが。)

 ソーイングマシン(裁縫機械)をミシンと読み替えて、意味が通らない外来語を作った我々日本人である。我々は意味を斟酌せずに省略しすぎるのである。師長も、同様の省略方法であろう。

 だいたい、日本人はこうした組織的な名称の付け方などに一貫した論理がなさ過ぎる。イデオロギッシュでないのは日本人の長所でもあり、また短所でもあるのだが、これはあんまりではないかと思う。

 看護婦と看護士の間の言葉の違いに敏感であるならば、師長という言葉の持つ誤謬に対しても同様に敏感であらねばなるまい。
 
 もう一度言う。あと10年経ったらどうなっているのだろうか。
 女子高生≠女子校生 と同じように看護婦という言葉はアダルトビデオにのみ存在する特殊用語になってしまうのだろうか。

(Mar 2000.初稿)